理学療法士とは
作業療法士や言語聴覚士とならぶリハビリテーションの専門家と呼ばれる職業の一つで、国家資格です。養成校を卒業し国家試験に合格すると免許を取得することができます。


具体的にどんな仕事をしますか?
一般的なイメージでは、患者さんが平行棒につかまって歩いているところを手伝っているようなイメージを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
もちろんそれはその通り!ではありますが、ほんの一部分です。では、どんな仕事があるのでしょうか。
1. 病気やケガなどで身体の動きに問題が生じた場合
骨折や脳や神経の障害でマヒが生じて、関節の動きが悪くなったり、筋力が低下してしまったり、痛くて動かせなくなったりした場合、また内臓の病気で長く歩けない、疲れやすい、息切れしてしまう等、様々な原因でそれまでの日常生活動作が送れなくなってしまうことがあります。高齢の方は特に、ちょっとしたきっかけで要介護状態になることも多くあります。
理学療法士は、その原因を解剖学的・生理学的・運動学的に分析して、原因を追究しそれを改善するために、その方に必要な理学療法の手段を考え提供します。

2. 運動機能に障害を持つ子どもに対して
脳性麻痺や発達の遅れ、整形外科疾患など様な理由で運動機能に問題を持つ子どもたちには、成長を助けるために発達の段階に応じた援助をし、呼吸・哺乳・食事などその子に合わせた工夫や練習を行います。

3. 健康な方がこれからもより健康に過ごすために
病気やケガを予防し、高齢者の介護予防のために、地域のコミュニテイーに働きかけたり、生活習慣病に対する運動療法や、就業環境などに対するアドバイスを行ったりするなど、産業分野などでの活躍の場も広がってきています。

4. スポーツ競技者に対するパフォーマンスの向上
クラブチームや部活動、アスリートにおいても、スポーツでの怪我はパフォーマンスを低下させます。怪我をしてから競技に復活するまでのリハビリテーションを管理し、怪我の再発の予防をふまえたフォームの指導やトレーニングプログラムの立案をして、競技復帰にむけたサポートをします。また、怪我の予防の観点からも、運動の負荷や手段の選択をしたり、選手の現在の能力を生理学的に分析し、さらに競技レベルを向上するためにどんなトレーニングをするべきか指導したりします。

5. 高齢者や障害があることで、一人で日常生活を送ることが難しい場合
食事や更衣、入浴や排泄など、生活を営む上で必要不可欠な動作が一人で難しい時には、残された機能を最大限に活かすにはどのような方法があるのか、身体機能の改善へのアプローチはもちろんですが、生活しやすい環境をどう整えるのかも理学療法士の仕事の一つです。介護保険制度の利用や福祉用具の選定など、多職種と連携を取りその方にあった手段を考えます。

他のリハビリテーションの専門家との違い
リハビリテーションの専門家と呼ばれる資格は理学療法士のほかに、作業療法士・言語聴覚士があります。作業療法士と理学療法士は、施設などでは、ほぼ同じように働いていることも多いのですが、得意とする分野が異なります。作業療法士は身体だけでなく高次脳機能障害や精神疾患のある方に対して、日常生活や社会に適応するため身体面精神面のリハビリテーションが得意です。また、言語聴覚士は、何らかの原因でコミュニケーションに障害がある方や、嚥下に障害がある方などに対してのリハビリテーションが得意です。
そして理学療法士が得意とするのは、動作や歩行の分析や指導が得意です。立ったり座ったり歩いたり、そのほか生活に必要な動作を、筋力や関節可動域のほか体力や持久力など幅広く分析し、その方の生活がより良いものになるためのお手伝いをします。
リハビリテーションにかかわる職種は、ほかにも医師、看護師、介護福祉士、ケアマネージャー、義肢装具士、ヘルパー、ソーシャルワーカーなどたくさんあり、実際にはそういったほかの職種と連携を取りつつ、理学療法士の専門性を活かして、対象となる方のリハビリテーションを行います。
理学療法士のやりがい
- どんな時にやりがいを感じるのか
- はじめは歩くことができず車椅子で移動していた患者さんが、一人で歩けるようになり社会復帰まで果たすことができた
- 腰痛が酷くて歩くときに腰が伸ばせなかった患者さんが理学療法後にはしっかり腰を伸ばして歩いて帰ることができた
- ベッドでうまく起き上がれなかった方に、介護ベッドを導入して起き上がる手順を指導したら一人で起き上がることができるようになった
- スポーツで怪我をして試合に出られなくなった選手にリハビリを行い、競技復帰し負傷する以前と同等あるいはそれ以上のパフォーマンスができるようになった
などなど ⋯
理学療法士に求められるもの
障がいを抱えてしまうと、身体のみならず、精神的にもダメージを受けてしまいます。そのため、知識や技術だけでなく、人間的にも患者様から信頼され、共に困難を克服していこうとする情熱、思いやりや優しさが必要となります。本校では、患者が求める医療従事者として、理学療法士として、そして、人として信頼される人材を育成します。また、そのような素地を持った人材を求めています。
これからの理学療法士の役割
理学療法士の世界は成熟の一途を辿っています。一昔前までは、この職能を生かせるのは病院や医療施設に限られていましたが、昨今では、働き方は多様化する一方です。専門領域外へ目を向けることを推奨するわけではありませんが、個人で治療院を開業したり、企業内で健康増進に携わったり、ヘルスケア製品の開発に関わる理学療法士も増えました。
これらの事実は色々なバックグラウンドを持つ人たちを、理学療法士の仕事に注目させています。この世界は、今後ますます面白くなっていくでしょう。